home > boku-no-ecrits > どうしたらいいのでしょうか

boku-no

どうしたらいいのでしょうか

Pocket

どうしたらいいのでしょうか。いまの僕は立場上、対人関係に関する相談を受けることが多い。立場上、というのは、僕が特に誰に対しても無害な存在であることを指している。チームには所属しているが、特に決定権や発言力を持っているわけではなく、話を聞くことができても、何かに何かを行使するようなことはできない。と思われる立場にいる。本当はそんなことなくて、やろうと思えば少しは何かに何かをすることができるのだけど、むしろそれをしないことで得られているいまの役回りに楽しさを感じているので、特に何かを何かしようとは、今のところ思っていない。


で、どうしたらいいのでしょうか、について。対人関係の悩みでこれを聞くことがままある。どうしたらいいのでしょうか、という言葉が向けられているのは、だいたい〈この今の状況〉か〈どうしようも分からずやなこの人〉のどちらか。状況に対してどうにかしたくて、どうしたらいいのでしょうか、と聞いてくる人に対しては、状況の整理と、本人のできることの確認をする。それでいったん「いってらっしゃい!」と送り出して、どうだった?と事後の進捗をちょくちょく確認する。これでほとんどの場合は終了。解決に向かってハッピーエンドか、問題だと思っていたことが問題じゃなかったと時間が経って気づくか。そのどちらかで終わる。


でも、〈どうしようも分からずやなこの人〉に対してどうしたらいいだろうって悩んでいる人はちょっと厄介。その人自体が厄介なのではなくて、その人がはまっている思考と、それによって循環している思考のサイクルが厄介。ざっくり言えば、何事も根気よく働きかけることで変化するという思考。この思考に端を発して、どうにかしようと対称の人に働きかける。そして相手が全然思うように変化しなくてチーン。じゃあ今度はこうしてみよう、と策を練り直して再戦、結果はチーン。その後も、努力の甲斐なく、チーン、チーン、チーン…。今度はだんだんと相手にイライラしてくるし、相手にイライラしている自分にもモヤモヤしてくる。どうしてこんなに純粋に、素直に、より良くなるためのアクションを私は起こしているのに、あの人は変わらないんだ。でも、こうやって人のせいにしていることって本当に良いことなのか?モヤモヤモヤモヤ…。


で、多分、その悩んでいる人が眉間にしわを寄せて身を二つに引き裂かれそうになっているとき、まったく同じそのときに、当の相手は仕事に疲れてウトウトしているか、いやーお疲れー!とか言いながら友人と華金を謳歌している(この時世、そんな盛大にやらないかもしれないが、やるかもしれん、そのことすらも悩み人の悩みの種かもしれん)。


うーん、滑稽。なんかの喜劇みたい。

〇〇さん、どうしたらいいのでしょうか。

いや、どうもしなくていいよ。というか、そう簡単にどうにかできるようなことではないよ。

でも、〇〇さんが変わってくれないと、あれがうまくいかないし、これも進まないし、それに至ってはもう消滅案件です。

そっか、そしたらあれは多分うまくいかなくて、これは進まなくて、それは消滅するのが運命なんだと思う。

いや、それじゃまずいです。

え、まずいの?

まずい!

まずいのに、〇〇さんはあれをうまくいかなくしているし、これは進めないし、それを消滅させようとしているの!?

いや、しようとしているわけではないと思うけど…少なくともこのままいくとまずいです。

〇〇さんはまずいって思っているのかな?

いや、思ってたらこんな状態にならないでしょ!ってか何をそんなこと、無駄な質問!

いやごめん、そうだよね、でも確認したかったの、〇〇さんはまずいって思ってないこと。
だから、〇〇さん的には別にまずくないんだよね、うまくいかなくても、進まなくても、消えても。

そうです!

じゃあ、まずいって思っている人がやったらいいんじゃないかな。
もちろん、チームでっていう気持ちがあるのかもしれないけれど、結果それでうまくいかなかったり進まなかったり、消えたりするのは嫌でしょ。

まあ、それはそうですけど…

よくわかったのは、あなたが〇〇さんをとてもよく信じているということ。
意地悪な言い方をすれば、〇〇さんがお願いしているわけでもないのに、勝手に信じて、勝手に裏切られた気になっているということ。
だから、いま起きていることと、これから起こりそうなことは、すべて、現実には起こっていなくて、今後も起こらない。
すべてはあなたの頭の中で起こっている、だから、〇〇さんを変えようとか、そういうんじゃないのだと思うけど。

はへぇ、よくわからないけど、とりあえず相談相手を変えます、あざした!

チャンチャン。