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子供の行動を取りあげられない保護者はダメな保護者?

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大人から見て、子供は「何をしでかすか分からない存在」だったりする。周囲の人間やその子自身にとって良いことであれば安心だが、迷惑をかけたりとんでもない被害を生んだりすることもある。大人の場合は、良いことも悪いことも、大体は何かしらの意図にともなって生じるが、子供の場合は本人自体が意図を語れないことも多い(語るの能力の問題だったり、そもそも語ることを想定していなかったり)。とにかく意味が分からないし、予測もできないことが子供の周りではたくさん起こる。


そこにどう向き合うかという話の中で、この前、ある人が「自分は子供の年齢がある程度になるまで、禁止や制限を効果的に使ってきた」と語ってくれた。その人は子供が大人になって自立するまでの一通りの子育てを経験しており、その経験をもとに語ってくれていた。ざっくりまとめると、子供は自力で制限をかけるのが難しく、欲望のままに突っ走ってしまうから、自分で制限をかけられるようになるまでは周囲の大人が代わりに制限や禁止をおこなっていく必要がある、という話だった。「そりゃあ何度もケンカになりましたし、そのたびに子供が納得するまで説明しましたよ」と、過去に思いをはせるような顔つき


だった。
これで終われば僕も、はぁとかへぇとか言ってやり過ごせただろうが、このあと、聞き捨てならぬ一言が飛んできた。それは「だから、ほかの親を見ているとたまに子供のことを全然制限できていないし禁止することを恐れているような人がいて、なってないよなぁと思う」というものだった。


いやいやいやいやいやいやいや、待たれよ。


いろいろな角度からツッコミを入れたいのだが、ここでは一つに絞るとして、大前提、なぜ子供の行動は大人に取りあげられてよいのだろうか。これって大人ならみんな共通認識で思っていることで、むしろ僕がまだ子供なのだろうか。


子供は確かにとんでもないことをする。最初に書いた通り、意味が分からないことを予測不能なタイミングでぶち込んでくる。でも、だから大人がそれを未然に防ぐためにと言動を制限したり禁止してよいのだろうか。短期的には問題は起こらなくなるので、大人的に一安心かもしれない。でも、中長期でみたときに、子供はどうやって危機管理能力をはぐくんだり、代替行動を獲得したりするのだろうか。


たとえば、駅の改札が有毒な物質で汚染されたとする。その有毒な物質で汚染される利用客が出ないためには、短期的にはその改札を封鎖して使用できなくすればよい。しかし、そうすると今度は駅に人が溜まってしまう。だから、ほかのルートを確保して、そちらへ利用客を誘導する必要がある。ほかのルートが無かったり、作ったのに活用されなかったりすれば駅は人であふれかえり、結局人は封鎖を乗り越えて、汚染覚悟で有毒物質まみれの改札に突っ込むことになる。


禁止や制限は、代替不可能な(それ以外に方法がない)状況で、一時的におこなわれるのは良いと思う。その子にとって学びがあるかどうか~とか言っているうちに子供が危険にさらされてしまっては元も子もない。しかし、それは本当にごく一部のときであって、それ以外のほとんどのときはこちらから積極的に制限や禁止を行うべきではない。と僕は思う。


シンプルに、それ(禁止や制限)って大人が楽な方法だよなと思う。そんな理由で子供の権利を軽々奪わないでほしい、とも思う。