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頑張ったら給料上がりますよね

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仕事中に「頑張ってるのに給料が上がらない」という相談を受けた。その人は僕の管下では無いけれど、その人がスタッフで僕が準管理職という意味では、大きな括りで管下スタッフのようなものだ。相談でありつつ、突き上げられているようなものだ。申し訳ないと思いながら、きちんと話を聞いて対応しないと変に期待を持たせてしまうから単純に怯んだ。

話は逸れるが、自分の管下スタッフが別の準管理職以上の人に変な期待を持たされたことがあり、非常に困った。そのときの「変な期待」というのは、正当な根拠の無い約束のようなものだった。その件は今でも思い出したくないくらいに拗れて、スタッフに「●●さんは優しい上長だけどあなたは血も涙も無い」と言われて幕切れした。他人にされるぶんにはもう仕方ないことだから我慢するが、僕が同じことを他の人にしないようには気をつけたい。

だから怯んだ。自分の管下に相談されるよりも難易度は格段に上がる。

そこが今回のエクリの本題ではないので、本題の相談内容に入る。「頑張っているのに給料が上がらない」という相談。

内容をざっくりまとめると、ここ最近昇給の額が低迷しており、自分は手を抜いているつもりは無いし、現にXやYやZのような実績も出している、つまり頑張っている、だけども昇給額は徐々に下がっていて、職場の自分より社歴の浅い人(以下、歴浅さん)にすら負けている、頑張っているのに給料が上がらない、というものだった(X,Y,Zは具体的な実績の内容)。

確かに、XやYやZは僕の管掌しているチームで実績として上がっても評価に紐付けるであろう内容だった。昇給額が右肩上がりの歴浅さんも相談者に比べれば全然まだまだ仕事はできない、その歴浅さんが僕の知っている人だったからこそ自信を持って頷けた。

でも、結果として僕は、相談者の昇給額が低迷していることも、歴浅さんの方が昇給額が高いことも、「そうなるだろうし、僕でもそうする」と認めた。なぜか。

大前提として、僕は「昇給=価値の変化」と捉えている。年収300万円の人が年収312万円になったとしたら、それは「12ヶ月換算で月当たり1万円上がった」のではなく、「価値が300万円だった人が312万円相当の価値になった」と捉える。全く同じ数字だが、捉え方が微妙に違うのだ。定期的に給料が上がるのではなく、価値が上がったからその価値に見合った給料になるのだと考えている。ヒトをモノに例えるようだが、何かしらの価値の変動(豊作/不作、需要増/減など)が無ければ物価が上がらないのと同じことである。だから、シンプルに自分の価値を上げる必要がある。

つまり、頑張ったからとて給料が上がるわけでない。むしろ、新しい価値が付加されたかどうかで給料が上がるのだ。相談者の話に戻ると、相談者が出したXとYとZの実績は確かに実績ではあるが、過去にも同じ実績を出しており、その意味で新しい価値ではない(もちろん、その価値までが包含されている給料はすでに相談者の手元に毎月届いている)。そして、相談者が比較対象に出した歴浅さんは、仕事を覚えたり新しいことにチャレンジしたりして入社当初の価値を日々塗り替えて働いているから、それ相応に給料は上がるわけである。

幸い、今回の相談者は今のところ拗れていない。