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「丸くなったね」に思うこと

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先日、大学時代からの友人と久しぶりに飲んだ。といってもこんなご時世なので、もちろんビデオチャット越しに、である。二年弱ぶりくらいだったので、もしかしたら結構見た目も変わっているのかな、なんて思いながらビデオチャットがつながるのを待っていたけれど、全然そんなことなくて、見慣れた彼だった。もともと細身ではあるが、さらに痩せたかな、でもそれくらい。


酒を飲みながらまじめな話をするのは久しぶりで、すごくよく頭が回転した。僕が仕事で研究する予定の内容を、彼がすでに専門に研究しているとのことで、先行研究から研究手法に至るまで様々なことを教えてもらった。最初は問いの話、そこから研究手法の話になり、問いと手法がうまく両立できないことを相談したら「そういうもんですよ、でもやりようはあります」なんて優しい言葉をかけてもらえた。そのあとで再度具体的に先行研究を紹介してもらって…気が付いたら話題は<自分の変化>に移っていた。


移っていたというより、今思うと僕がそういう問いかけをしたような気がする。僕の中の彼(=過去の彼)と、画面越しの彼(=いまここの彼)とで印象がだいぶ変わっていたので、それがどうしてなのか、そもそも僕の認識は本人と共有しうるものなのかを確認したくて問いかけた。彼は、<変化した>ことを認め、具体的にいつ頃が転換点だったのかなどもスラスラと話してくれた。


その話のなかで、「上司に『丸くなったね』って言われることあるんですけど…」という話題が面白かった。受け取り手の僕の理解としてざっくりまとめると、次のような話。


もともと(自分に余裕があるとき)は他人からの評価を気にするような感じで生きていたんです。でも、それが最近だんだんと余裕が無くなってきて、評価とか気にしてられないようになってきて、前みたいに人に突っかかったり、バチバチしているような時間も無くて。で、上司に「丸くなったね」みたいなことを言われたりするようになったんだけど、そうじゃなくて「お前(上司)に興味無くなったんだよ!」っていうのがこっちの正しい認識なんです。


これを聞いた瞬間、気持ちがすっきりと整理された気分だった。僕は「興味なくなったんだよ!」と言い切れるほどまだ割り切れていない(自動思考的に評価を気にする)。でも、僕も前に比べて「この人(先生、先輩、上司、親…)にどう思われるかな?」ということを考えなくなったり、考えても<横に置いておく>ことができるようになった。月並みな言い方だけれど、もともと評価のためにやっているわけじゃないし、しかも皮肉なことに、評価を気にしていたときよりも気にしなくなってきた今のほうが評価される(物欲センサーみたいなものなのかしら)。


ちなみに「丸くなったね」って言葉は好きじゃない。これは友人も同意してくれた。なんでだろう、なんか見下されているような感じがするからかな。自粛生活で確実に<丸く>はなったんだけれど…関係ないか。